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     第7作品集: 天 地 有 情      
〜Natural Orchestra by Musical Artisans〜



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◆第7作品集≪天地有情≫:各曲のテーマ試聴◆

〜収録曲8曲の冒頭約1分が試聴できます〜

今回の作品集も、協奏曲風の管弦楽曲集です。
ただし、編成は、管弦楽+ジャズバンドです(1曲目〜7曲目)。
どの曲でも、オーケストラとジャズバンドとの対比的演奏を背景に、
ソロ楽器が自在に演奏を繰りひろげます。
オーケストラとジャズバンドでは、楽器編成や規模が異なるだけでなく、ビート感覚も違うため、
クラシック音楽調から一転してジャズへ、またクラシック調へ、と曲想が何度か転じます。
この演奏様式の「対比」が、この作品集の聴きどころです。
この曲集は、バロック音楽の「合奏協奏曲」(*1)の編成と演奏様式を参考にして、創作したものです。
もしヘンデルが今の時代に生きて作曲するなら、こんな感じの曲を作ろうとするのではないか、
と想像しながら書き進めてきました。
 
また、最後の8曲目の<蝶の覚醒>は、コンクール入賞曲です。
付録として収録しておきました。

どうぞお聴き下さい。

 [2012年6月4日公開、WAVファイル、約10MB]



1曲目
高原の風



[Solo:Alto Sax]


 2011年の秋、よく晴れた日に、長野県の上高地を散策したときの印象を綴ってみた曲です。
 冠雪したばかりの奥穂高岳を望みながら、河童橋周辺や梓川沿いを歩きました。
 別世界を吹き抜ける命の息吹を表現してみました。
 オーボエ、フルートのソロに続いて、アルト・サックスが登場します。
 2011年11月作曲、変ロ長調。


2曲目
浜辺の夕暮れ



[Solo:Trumpet]


 タイトル<浜辺の夕暮れ>のイメージを膨らませながら、2011年の3月初旬に作曲を始めました。
 その後、東日本大震災に見舞われ、しばらく作曲を中断しました。
 しばらく時間を置いて、構想から練り直し、メロディーラインや和声進行や、ソロ楽器の配当もすべて見直して、全面的な書き替えを行いました。
 当初のプランでは、イントロ後に最初からトランペットがソロをとるはずだったのですが、「最初のソロはイングリッシュホルン」という声が心の中から聴こえてきて、それに従って曲調を全面的に変更していったのです。
 哀愁を帯びた曲になりました。
 曲を書きながら、ソロ楽器がすすり泣いているように感じることもありました。
 東日本大震災への鎮魂曲になったと感じています。
 2011年6〜7月作曲、変ロ長調。


3曲目
迷宮のワルツ



[Solo:Clarinet]


 ワルツとは、「異世界へのいざないの舞踏音楽」と考えています。
 この作品は、未知の混沌とした標識のない世界へと足を踏み入れる感触をイメージして作ったワルツです。
 2011年2月作曲、7月改訂、変ホ長調。


4曲目
アンモナイトの追想



[Solo:Vibraphone]


 数億年ほど前の古生代や中生代の海で繁栄し、白亜紀末、恐竜たちとともに絶滅してしまった、造形の美しい化石生物、アンモナイトにささげるバラードです(*2)
 編成は、Vibraphone, Piano, Bass, Drums の四重奏で、かつてのMJQ(モダン・ジャズ・カルテット)と同じ編成です。私は、MJQのジャズバラードの<フォンテッサ>や<ジャンゴ>を愛聴していました。この編成でのバラードを作ってみたいと、常々考えていたのです。
 この曲は、自作のオーケストラ曲<アンモナイトの夜>が原曲です。オーケストラ版は、常設曲ギャラリーAで試聴できます(2013年スコア改訂版)。
 2011年1月編曲、ト短調。
 ブログページ、「<アンモナイトの追想>(Jazz Version)の新録音版を公開」で全曲通して試聴できます。


5曲目
森の木霊
(もりのこだま)


[Solo:Flute]


 森の中をゆったりと散歩している情景を思い描いて、曲を作りました。
 鳥や木々や草花と人間とが、交感している世界、共鳴する自然を表現してみようと試みました。
 2010年6月作曲、2012年2月改訂、ト長調。


6曲目
蜜蜂の戯れ



[Solo:Violin]


 昆虫の空中遊泳は、鳥類の飛翔とは本質的に異なっているように思われます。体の構造の違いに起因する、時間・空間の認知様式のずれのためでしょうか。
 どちらも私には魅力的なのですが、この曲では、蜜蜂の不可思議で騒がしい空間に溶け込んだつもりで、時空間の変容を描いてみました。
 短調の速いテンポの曲です。
 2010年10月〜12月作曲、ニ短調。


7曲目
複相都市の情景



[Solo:Alto Sax, Trumpet]


 2011年の夏(8月〜9月)、私は長野県松本市本庄に長期滞在していました。
 松本市は、松本城や蔵の町並み、民芸家具や人形など、昔ながらのものが大事にされている一方、パルコ周辺や松本市美術館のような現代的なものも、ごく自然に共存している、不思議な魅力のある街です。サイトウキネン・オーケストラの拠点であり、音楽・芸術文化の発信地にもなっています。
 この街を歩くと、私は心地よく共振しているように感じることがあります。
 この<複相都市の情景>は、さまざまな顔を持つ松本市の印象を、管弦楽曲として表現した作品です。滞在中に、少しずつ書き進めていきました。
 私は、余生を松本で送りたい、と考えるようになりました。
 2011年8〜9月作曲。テーマ部は、変ホ長調とイ長調。


8曲目
蝶の覚醒



[Solo:Oboe]


 かつて作曲したバロック風のオーボエ協奏曲を原曲として、コンクール向けに編曲しなおした室内楽作品です。
 応募したコンクールは、東京国際芸術協会主催、第9回(2010年)TIAA全日本作曲家コンクールの室内楽部門で、「入選」をいただきました。
 応募規定にあわせるため、ハープシコードはピアノで代用せざるを得ませんでした。そのため、バロック調の編成や曲風にはこだわらず、規定の範囲内で原曲の持ち味を出すことを心がけて編曲しました。
 この作品では、蝶の「羽化」に象徴される生成のイメージや、蝶の浮遊感を表現しようと試みました。タイトルは、中国の古典『荘子』斉物論篇の<胡蝶の夢>を踏まえてもいます。
 2010年8月編曲、ニ短調。

 原曲のオーボエ協奏曲は、作品集≪協奏曲の宴≫に収録されています。
 なお、この曲は、常設曲ギャラリーCで全曲通して試聴できます。


作曲・編曲:森 さちや
演奏・録音:森の音楽工房 Musical Artisans


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※ノートパソコンでお聴きの方へ
 普段お使いのヘッドフォンをパソコンに接続してのご試聴をお勧めします
 理由:音質が多少とも改善されます。
  1.音割れがなくなります。
  2.パソコン自体の雑音をカットできます。
  3.音が金属的でなくなります。
  4.低域の音が出るようになります。
 (ただし、3と4についてはヘッドフォンにより効果が異なります)

(*1) 「合奏協奏曲(=コンチェルト・グロッソ)」とは:
 「合奏協奏曲(=concerto grosso)」とは、独奏楽器<群>を、オーケストラ全体と対置させた協奏曲のことです。独奏楽器<群>は、コンチェルティーノといい、たとえば、ヴァイオリンとフルートと通奏低音楽器で構成されたりします。一方のオーケストラは、リピエーノといい、弦楽合奏、または弦楽合奏プラス管楽器群という構成です。
 コレッリやヘンデルの合奏協奏曲が代表例で、バロック時代の協奏曲の最も重要な様式です。ヴィヴァルディの<調和の幻想>も、このタイプの曲集です。2つのグループが対等の立場で演奏し、音量や音色の対比や、フレーズの掛け合いなどによって、劇的な効果が生み出されます。
 そしてこの作品集では、合奏協奏曲のコンチェルティーノの部分に、[ソロ楽器+Jazz Band]を代入した編成を採用しています。ジャズバンドはカルテットで、かつてのMJQ(モダンジャズカルテット)と同じ、[Piano+Vibraphone+Bass+Drums]の構成としました(7曲目を除く)。
【編成例】<森の木霊>の場合
[コンチェルティーノ]:ソロ・フルート、ピアノ、ヴィブラフォン、ベース、ドラムス。
[リピエーノ]:フルート、オーボエ、クラリネット2、バスクラリネット、ファゴット、ホルン2、シロフォン、チューブラベル、ティンパニー、シンバル、ラテン・パーカッション5種、弦楽器群(ヴァイオリンT・U、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)。

(*2) アンモナイト・ファン必見の博物館:
 アンモナイト・ファン必見の博物館が、伊豆高原にあります。
伊豆アンモナイト博物館という、小さな個人博物館です。アンモナイトの小宇宙空間と、館長・吉池高行氏の薀蓄が魅力です。


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